本書は、情報学分野における我が国唯一の総合研究所である国立情報研究所で独創的な研究に取り組む研究者たちの、日常生活から研究内容にいたるまでを取材したものです。ユニークな研究内容・研究者としての誇り・意外な一面などを垣間見ることのできる本です。
僕はこの本を読むまで、情報学を取り扱う国立研究所があるなんて知りませんでした。この研究所は、東京・神田にほど近い高層ビルで、創立されてまだ10年しか経っていない新しい研究所で、伸び盛りの研究者を積極的に採用して、国立からは想像もつかないようなユニークな研究をしています。4つの研究系、7つの研究センター等に、80名の精鋭研究者、多数の客員教授を擁し、IT関連の研究を中心に、幅広い分野について「情報」という視点から研究をしています。
本書を読んで、思ったこと。日本は、インターネットや携帯といった端末が生活に当たり前のように浸透しており、世界でも情報・ネットワークのインフラが最も進んだ国です。それにも関わらず、ソフトウェア・ハードウェアの分野で遅れをとっています。このような情報を取り扱った学問がかなり低い水準であるかのように思えます。人材不足や、そもそも情報系の分野に憧れる人が少ないという背景もあります。
しかし、日本から生まれる研究者は素晴らしい知能と想像力をもった人ばかりだということが分かりました。今でこそ、そのような優れた人材はGoogleやMicrosoftなどといった欧米の企業に抜き取られてしまいますが、その分野で第一線として活躍している日本人がたくさんいるということを忘れないでください。
日本の近代の物理学・化学の発展は目を見張るものがあります。ノーベル賞には、毎年のごとく日本人が選ばれています。日本には、様々な分野でトップを取るだけの才能が数多く存在するのです。情報学もその一つ。本書にもあるように、ここ国立研究所では、情報学を数学や物理といった学問みたいに体系付けようと研究に没頭している研究者や、世界でも最先端の技術を集結して量子コンピュータを開発を進めている研究者など、世界トップクラスの研究者が集結しています。この人たちは、決して自分たちの研究だけに没頭するのではなく、持っている知識を後継者に伝授すること・指導することにも積極的です。
決して2位に甘んじてはダメなのです。この分野では、トップを取れるだけの実力のある日本が、自ら負けフラグをたてて何になるのでしょうか。
色々話は脱線してしまいましたが、とても面白い本でした。
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